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2010年4月 9日 (金)当時の3Dハードスペックは・・・

おはようございます。本日の当番、プロデューサーの角和です。

前回までのあらすじですが、僕がまだアーケードゲームの開発ディレクターをしていた頃、初めての3Dハードでのプロジェクト立ち上げの際、理想と現実を克服するための四苦八苦したプロローグのお話しでした。

新規ハードの黎明期にはつき物の〝ペーパースペック〟と〝実性能〟の違いですが、今回はその部分についてをお話しします。

初期のポリゴンを使ったPC関係のゲームをご存知の方ならお分かりかと思いますが、その多くが〝ダンジョン〟系のゲーム仕様で制作されています。

これには、基本的に壁と天井で地形を構成する閉鎖空間を舞台にする事で、遠距離をどこまで表示するか、レベルデザイナー側でコントロールできるというメリットがあります。
非常に大切な要素で、当時の3Dゲームではかなりここを工夫して舞台を設計していました。

単純に表現しますと、特定の直線距離(仕様)に達する段階で必ず〝曲がり角〟を作るという事です。
勿論、ゲーム性上、曲がり角をつける事が出来きず、見通しの良いマップで構成する場合もあり、皆さんもパラパラと背景の一部や敵が発生する瞬間を見た事があるでしょう、あの現象が起こります。
曲がり角の法則は、ドライブゲーム等でも当時はコース設計にて気をつけられていたようです。

※余談ですが、少し前に家庭用ハイエンドゲーム機で発売していたとあるヒットゲームのステージ切り替えデモ中の表現で、次々と建物が生えてく映像を見たのですが、上記のパラパラ発生の応用技術なのかもしれません

さて、僕の開発していた機種でもそれらに洩れず、基本的には舞台をダンジョンで構成する事としたのは言うまでもありません。

それまでに立てていた幾つかのステージ設計を、ダンジョン形式に引き直してサンプルを作成してみたのですが、これが意外や意外。
テクスチャによっては不自然にならず、一種、お化け屋敷の中の様な不気味な雰囲気を醸し出していました。
これらに、簡単なカメラパス(軌道)を設定して、再生してみたところ、
あたかも自分が歩いているような感じになり、僕の中で更なる手ごたえを感じる事ができました。

ただ、この際に設定したカメラパスデータに、人間が歩いている〝上下の揺れ〟を入れていたのですが、これは失敗・・・あまり3D画面に慣れていなかったせいだとは思いますが、いわゆる〝3D酔い〟をしてしまい、その場にいたスタッフ全員とも昼食を食べられないほど気持ち悪くなったのを、今も覚えています。

早速、カメラパスデータに改良を加え、関係者にプレゼンしたところ、一同、まんざらでもない様子で好意的な意見も幾つかあがり、ホッと一息ついていた矢先に、やはり出ました本部長の〝恐怖の一言〟が!

「フラットな壁ばかりでなく、凸凹の岩肌もあった方がもっと面白いんじゃないの?!」と。

その場にいた他の関係者からも堰(せき) を切った様に、「企画書には洞窟や森の中みたいなのがあるけど大丈夫か?」等の意見が続出して大盛り上がりでしたが「現在、そういったシチュエーションのデータも作成中ですので、近日中にお見せします」と、切り抜けました。

勿論、そんな所まで準備している訳もなく、現在の僕の危機回避能力?は、この頃から培われてきたのかもしれません。
※いい加減さとも言えますが・・・
まあ、プレゼン終了後、チームスタッフとハードウェア担当者とで、大もめミーティングになりましたが・・・

さて、「本開発」のスタート直後に起こった第一の難関をどう切り抜けるかですが、その後のミーティングにて、案外単純な方法で乗り切れる事がわかりました。

その方法はちょっと〝ずるい〟やり方ですが、
次回の当番でお話しさせて頂きます。

それでは、また。

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