質問者:Heitor de Paola
回答者:SWERY
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※注意
本文は北米および、欧州のウェブサイト他で掲載された『レッド シーズ プロファイル』のインタビュー記事を日本語訳して転載した物です。
文中では、原文の雰囲気をできるだけ忠実に伝えるため、洋題である『Deadly Premonition』というタイトルをそのまま使用しております。
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●DP's gameplay mix a variety of different elements in a unique way. Were they inspired by other games, or did you have a specific vision of how you wanted it to play? And, the final product, is it exactly how you had conceived it?
「Deadly Premonition」のゲームプレイは色々な要素をユニークに組み合わせています。これらは他のゲームにインスパイアされたのですか?もしくはどのように操作されるかを元から想像していたのですか?結局できたゲームは元々思いついたとおりでしたか?
SWERY:
一番最初に書かれた企画書は科学捜査を駆使したアドベンチャーゲームそのものでした。もっとアーバンでシニカルな作品だったのです。
そこへプロデューサー様のご意見や、開発スタッフの意見を取り入れて、オカルティックでノスタルジックな今の雰囲気や、アクション性をメインとしたゲームの骨子ができあがっていきました。
特に後から追加された要素としては、移動手段としての「車」と、「シューティング」が挙げられます。
車は北米へ取材に行った際に、実際に生活している人々を見て絶対に必要だと確信しました、シューティングも同様です。
●Could you comment about DP's easter eggs? I've heard that there lots of things to be found around the town, if you're at the correct places at correct times, though I've been unable to find them myself.
町のある特定な場所と時間に色んなことがあるという話を聞いていますが、自分では出来なかった。このような隠れ要素に関しては何かコメントできますか?
SWERY:
Easter eggと言うと、何かゲームとしての特典がありそうな印象がありますが、私が伝えたかったのは、そういうものではなく、「町の人々の生活そのもの」を見て下さい。という意味です。
もちろん、町の各所には「エージェント勲章」が落ちていますし、ポストからは「弾薬」が入手できたり、サイドミッションを発生させるための「キーアイテム」や「NPC」も存在しています。
しかしながら、そういうゲーム的な要素より、「アッシャーは毎朝、ミルクバーンへ寄ってポテトチップスを買ってから、病院へ通勤している。」や、「エミリーはダーツバーで夕食を取っている」などを見て貰いたいです。
そうすることで、彼らがどういう人物で、どんなに魅力的か?がわかると思いますし、よりストーリーに感情移入できると思うからです。
●How was the creation process of Greenvale? There seems to be an agreement that you and your team were able to capture the essence of a small american town. So, how was the creation process behind Greenvale? Besides some field research, what else did you do?
アメリカの小さな田舎の町の雰囲気をうまくつかんでいる言われています。町づくりはどのようなプロセスになりましたか?実際にアメリカに行ったりして、他にどのようなことをしましたか?
SWERY:
実際に取材に行ったときには、メジャーを使って道路の幅を計ったり、町の人々に話を聞いたり、色々な料理を食べました。
特に料理やお店にはこだわったので、普通の観光客では絶対に入らないようなローカルな店に行ったり、イージーライダーのようなバイカーの集まるバーにも行きました。
「坊や、帰ってママのミルクでも飲んでな…」とか言われそうな雰囲気だったので、できるだけ早く逃げ出しましたが(笑)
その他には、アメリカの不動産雑誌や、建築設計の本などを大量に仕入れて、家の間取りなどを真剣に勉強したりもしました。
とにかく、日本人の我々がアメリカの田舎町を再現するわけなので、思いつくことは何でも積極的にやっていきました。
●Tell me about Zach. There is a part of him that is the player, right? How did you come to create him?
ザックについて教えてください。プレイヤーが彼の一部になっているのを聞いたのですが、本当ですか?また、ザックをどのようにして作ったのですか?
SWERY:
共同シナリオを執筆している合田氏と、本作のシノプシスを構築しているとき、どうしてもプレイヤーとゲーム中のキャラクターとの乖離を許容することができませんでした。
必死で殺人事件の捜査をしているヨーク捜査官と、リビングでプリングルスを食べながらゲームをしているあなたとの「温度差」です。
そこで、なんとかヨーク捜査官が、リビングのあなたに介入することができないだろうか?しかも、出来るだけ自然な形で。という試行錯誤の末、ザックというヨーク捜査官の別人格が生まれました。
実際にプレイをして体験してみてください。きっと私の言っていることがわかると思います。
●Is Shenmue an importante game to you? There seems to be some resemblance between it and Deadly Premonition, not only in gameplay but in their presentation as well.
ゲームプレイだけでなく、表現の面でもDeadly Premonitionは「シェンムー」と似ているところがあると思います。話が違いますが、SWERYさんにとって「シェンムー」は大きな存在ですか?
SWERY:
お恥ずかしながら、私は「シェンムー」をプレイした事がありません。以前の職場で、友人がプレイしているのを少し覗き見した程度です。期待はずれの答えですいません。
●When the project started, was it all along a story about York and Zach, which later led to the creation of Emily and Greenvale? Or was Greenvale an already established set, with York being created later to be its main actor?
プロジェクトを開始した時点でエミリーやグリーンベールを後に作ることに繋がったヨークとザックを中心とした話でしたか?それとも、グリーンベールの設定を元に作ってからヨークを主人公にしましたか?
SWERY:
両方同時に思いつきました。
当初は女性捜査官が主人公で、都会を舞台にした作品を想定していました。
しかしながらプロデューサー様の意向や、合田氏とのブレストを経て、一風変わった田舎町に、もっと変わった(狂った?)FBI捜査官が登場する物語を作り上げて見たくなったのです。
そこまで話が進むと、後は雪崩のようにアイデアがドバー!という感じです。
●Deadly Premonition presents an interesting mix of ultra-realistic elements - like Greenvale, the incredible amount of details in the characters' faces, natural and convincing dialogues, some very specific controls within the cars (like turning on the wipers), the need to shave and change suits etc – and, at the same time, some very “videogamy” elements – like the floating 'agent honor' icons, the floating item screen when something is picked up, the flat box-shaped icon that you fish, etc. How did this design decision came to be? Why this mixture? Do you find it in any way important?
このゲームはキャラのはっきりとした顔や自然と流れる会話などの「超現実的要素」と釣ることが出来るダンボールのアイコンのような「ゲームらしき要素」の大変面白い組み合わせが出来ています。このデザインにしたきっかけとはなんでしたか?これも大事なことでしたか?
SWERY:
なかなか面白い部分に注目しましたね。
もちろんコレも重要なこだわりの一つだったのですが、メディアの方から質問を頂いたのは初めてです。
私の中に、グリーンベイルという町を出来るだけリアルに再現したいという思いと、ゲームだからこそ表現しなければならない部分(例えば匂いや味、触感、気配などは画面からだけでは表現が難しい部分)をどのようにミックスするのか?という葛藤が開発当初より、ずっとつきまとっていました。
しかしながら、ある時、そのゲームらしい部分を直接表現したら、どうなるんだろうか?という疑問がわき起こり、試して見たところ面白い印象になったので、採用したわけです。
もちろん開発中にでもリアルな画面に合わないという声もありました。
でも、信念を曲げずに貫いて良かったと今は思っています。
●Zach, York, George and Emily are among the most original, unique and striking characters I have ever met in video games. But what is most striking is that every single inhabitant of Greenvale has a unique and curious personality, and they always seemed to have something new to say when I met them again. Could you elaborate on how was the creation process behind all this figures? How did you come about to make them all so distinct and varied?
ザック・ヨーク・エミリー・ジョージなどは自分のゲーム歴の中でもっともオリジナルでユニークで刺激的キャラに違いありません。それよりも刺激をうけたのは、住民はみんなそれぞれのユニークな人柄を持っていて、会話をする度に前とは違う話を持って来ることです。このようにみんなそれぞれにできたことについて詳しく教えてくれますか?どのようにしてそれぞれに出来たのですか?
SWERY:
答えは簡単です。
作品および彼らへの愛情と、眠らずに会話を書き続けたこと。それだけです。
●Now, I have to ask, why is the zoom in the map so close? Did you want people to memorize Greenvale's layout? I do admit that within a few hours I could go to any part of town with no problems, but at the beginning it was really confusing.
この質問は聞かざるを得ません。マップのズームはなぜそんなに拡大しているのですか?グリーンベールの地取りを暗記してほしかったのですか?慣れてきたら問題なかったけれども、最初はさすがに混乱していましたね。
SWERY:
マップを暗記して欲しかったという気持ちはもちろんあります。しかしながら、あの仕様は良くなかったですね。
プレイヤーの皆さんに無駄な苦労をさせてしまいました。ごめんなさい。
次を作るチャンスがあれば改善できるように勤めますね。
●Deadly Premonition has a very good soundtrack that fits any given situation perfectly, helping a lot in creating a good atmosphere. Was this element important to you? Do you consider it to be as essential as any other?
このタイトルの音楽は色んなシチュエーションにあって、雰囲気を作るにはかなり良かったです。これも大切に思っていましたか?他の要素と同じくらいに大切でしたか?
SWERY:
ゲームにおける音楽はその世界を表現するために欠かすことの出来ないものです。特に本作のように生活を取り扱った作品では、音楽は日常に溶け込みつつも、衝撃的で印象的で無くてはなりません。
そういった意味でも音楽には非常にこだわりをもち、作曲家へのオーダーも非常に綿密なものになりました。
時には鼻歌や口笛でメロディーを口ずさんだり。とにかく、楽しくも大変な作業でしたが、手を抜くわけにはいかない部分でした。
●As a last question, What does the future holds for you? Are you working on a new project? Is there any possibility that we will one day see Deadly Premonition's protagonist again?
これで最後になりますが、これからは何をされるのですか?新しいゲームを作っていますか?将来にヨークが再び登場する可能性がありますか?
SWERY:
現在もアクセスゲームズはいくつかのプロジェクトを持っています。
中にはもうすぐ発売される物や、発表されたばかりの物など。その多くはパブリッシャー様との共同制作によるものが殆どですが、私自身は今後もオリジナル作品の排出に注力していきたいと考えています。
今のところ具体的なプランはありませんが、またヨークやザックと共に不思議な人生経験ができれば、すばらしいことだと思います。
今後とも、我々の動向に是非ご注目下さい。
ありがとう。
以上、みんな、愛してる!!