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2010年11月19日 (金)

「Game Developers Magazine」Post Mortem(事後分析)第2回

※以下の内容は日本語の原文となりますので「Game Developers Magazine」の英語訳と一部異なる場合があります。
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5つの“正”-開発で上手く運んだこと-

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本作においてのBGMとボイスアクトは、注力した要素の一つですが、その甲斐あって成功できたと実感しています。独特なストーリーや世界観をよりいっそう引き出し、これまでのゲームには無かった雰囲気を持つBGMになったのではないかと思います。

ひと味違うBGMを生み出すことが出来た背景には、作曲者にこの作品の独特なイメージを確実に理解してもらうことが出来たからだと感じています。作曲者に沢山資料を見せたり、イメージしているBGMもサンプルを用意したり、時には口ずさんでみたり、作品を理解してもらうために努力した結果だと思っています。

イメージを伝える努力を最大限に行ったことで、次第に作曲者の頭の中に「GreenVale」という町が誕生し、更にそこに登場するキャラクターの日常が始まったとき、既に生み出される楽曲は自然と「GreenVale」で流れる旋律となった・・・という感じです。

その証拠に・・・のどかな口笛の旋律が印象的で、田舎町を散歩しているような「Beautiful Life」、モノローグで流れ、主人公のミステリアスなイメージを表現した「York&Zack」などは最初のデモの段階でほぼ1回でOKになり、スムーズに採用が決まったBGMで、この曲以外に考えられないというぐらい世界観にピッタリだと思っています。

ただ、試行錯誤と度重なるリテイクの果てに生まれたBGMも多く存在します。特に苦労したのは、冒頭の赤い部屋で聴くことが出来る狂気を表現した「RedRoom」やキャロルが歌うもう一つのテーマソングである「Miss Pinheel」です。これらのBGMはアレンジ、音量調整指示はもちろんのこと、エフェクトの指示、更に細かいところでは、ハイハットの入るタイミングでさえも小節単位で指示したり、かなりのこだわりを持たせていますし、「RedRoom」の狂気のインプロビゼーション部分は、何度も演奏楽器やアレンジを変えてリテイクを繰り返して完成したBGMです。

本作のBGMは、独特な世界観やキャラクター設定に深みを与えることが出来ていると思います。欲を言えば、もう少しBGMが多ければ、尚のこと良かったかもしれません。

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ボイスオーバーもBGM以上に成功した要素だと思っています。

ボイス収録は当時アメリカ/サンノゼにある「WebTone Studio」にて2週間掛けて収録しました(スタジオは、現在Los Angeles移転)。期間中に収録するボイス総数は、オンメモリ、ストリームを含め6000以上存在するので、一日に500程度のボイスを収録必要があります。

2週間といえば長期間かもしれませんが、アクセスゲームズは日本の開発会社なので、限られた期間内に絶対に全てのボイスを収録する必要があり、そのプレッシャーは尋常ならざる物でした。

収録期間中、我々は首輪で拘束され、スタジオに缶詰状態で過ごすこととなったわけですが・・  ヨーク捜査官のように、ホテルと町を行き来しながら、町に慣れ親しんでいく経験が実際に出来たので、その部分も帰ってから作品に活かすことができました。まさに一石二鳥の2週間だったと言えます。

実際にボイスを収録する際には、全てのボイスアクターに演じてもらうキャラクターのイメージ画像を見せ、キャラクター像を作り上げます。もちろんキャラクターだけではなく、全体の世界観や性格、家族構成までも細かく伝えたうえで収録行っていますが、本作に登場する住民は一癖も二癖もある「変人」が多いので、演技指導するにあたっては大変苦労しました。演出が伝わりにくいときは、アクターに直接演技指導するため、ディレクターのSWERY自身がブースで、演技しながら台詞を叫ぶという場面もありました。そうやってキャラクターの魅力を引き出し、作品中に命を吹き込んでいったと言えます。

中でもイメージ通り、いや、それ以上のすばらしい演技を見せてくれたのが、主人公の「York」を演じてくれたKramer氏です。アクセスゲームズが思い描いていた「York」という主人公像をさらに格好良く引き上げてくれた事に大変感謝しています。主人公というだけあって、3000台詞という収録数を5日程度で収録しなければなりませんでしたが、最高の演技を聴かせてくれました。もちろん、ジョージ、エミリー、トーマスなど、他の魅力的なキャラクターを演じてくださったアクターの方々も全員が最高です。

ユーザーの皆さんが、「本当にこのキャラクターがどこかに居るのかも?」と感じてくれたのなら、このキャスティングは大成功という訳です。

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次回 11月26日公開予定
 ・作品への愛情とこだわり
 ・データボックス①

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